AL-NOOR盲学校

AL-NOOR(光)盲学校を訪れる。ここはサラマッドから何度か必要なもののリストをもらっていた施設で、2台あるバスが故障して動かないだけではなく、寄宿舎用のベッドから盲人用のタイプライター、そして点字用印刷機のコンプレッサーなど様々なものが不足していた。ほとんどがバグダッドで買えるものときいていたので、とりあえず何が最も必要なのだろうかと行ってみたのだが、いくらものを揃えたところで子ども達が学校に通えないのでは話にならない。この時期の子ども達にとって、学校で友達に会うということがいかに大切なことか。132人ほどの生徒がいるということだが、お金持ちの家庭の子ども達は車で送ってもらったりタクシーを使ったりして学校に通えるにしても、お金のない家庭の子ども達のほとんどはこの治安の悪い中を通うことが出来ないでいるという。実際通える子ども達ですら一週間に一日くらいしか学校に来られないそうだ。西村さんは以前こうしたバグダッド市内の障害者施設のバスを修理するプロジェクトに携わり、確か20台以上のバスを直したとのことだったが、今では残念ながらそのほとんどがまた壊れて動いていないらしい。修理に修理を重ね、各部継ぎはぎだらけなので無理もないのだろう。おまけにひどい話になるとドライバーがバスの部品を持って行ってしまうというのだ。そういうわけでこのAL-NOORにも故障したバスが2台中庭に晒されているのだが、どうみてもちょっとやそっとじゃ動き出しそうのない代物だった。修理に出しても直る保証はないし、時間もお金もかかってしまう。それならいっそバスを買ってしまうのはどうだろうと思いついた。新車は予算的に無理だろうし今のイラクではかえって狙われてしまうかもしれないが、中古のバスなら何とか買えるのではないかと思いサラマッドにリサーチをお願いする。


(写真)AL-NOOR盲学校の教室

バグダッドについてA

バグダッド市内はしょっちゅう停電する。あちこちでジェネレーターを使っているのでガソリンの匂いがたまらなかった。電気の復旧状況は地域によってだいぶ格差があるようだ。ヒッラなどは水、電気共にパーフェクトの環境だそうだが、おそらくバグダッドはひどいほうではないだろうか。電力不足を補うために近隣諸国から購入している状況である。また、電話線も戦争で各地のコミュニケーションセンターが徹底的に破壊されたため、今だ電話が全く繋がらない地域が多い。私が泊まっていたアンダレスパレスホテル周辺も繋がらなかったが、地域によっては通じていて、ドーラ地区などは問題ないようだった。

戦前のバグダッドと比べると、「マネー、マネー」と露骨にお金を要求する物乞いが増えたような気がする。また白昼堂々と缶ビール片手に歩く男性を見かけ驚いた。そしてシンナーの匂いをぷんぷんさせたストリートチルドレンが増えている。前政権時代は厳しく取り締まられていた薬物が、今では容易に手に入るようになっているらしい。今後は他の麻薬等の薬物問題をはじめ、文明社会が抱える諸問題点が次々に浮上してくるのではないか。特にこのストリートチルドレンの問題は深刻である。西村さんによると、彼らを見かねて何とかしようと動き出したイラク人のNGOも現れてきたということで、今後は連携をとって支援していきたいといっていた。是非協力していきたいと思う。

どこも渋滞のためか、路肩でガソリンを闇で売っている連中をよく見かける。他にも盗品を売っているブラックマーケットなんかもあった。サラマッドから聞くところによると、なんと戦争中ドーラ浄水場で勤めていた職員の一人は、陥落後に盗んだものを売りまくり、その金でなんと新しく家と車を買ったという。もう今では浄水場では働いていないらしい。浄水場付近で偶然彼とすれ違ったが、ベンツに乗っていてまるで別人のようだった。このようなアリババ長者に関してはつかの間の栄華に過ぎないとは思うが、今後ますます貧富の差は広がっていくのではないだろうか。

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