バグダッド市内はしょっちゅう停電する。あちこちでジェネレーターを使っているのでガソリンの匂いがたまらなかった。電気の復旧状況は地域によってだいぶ格差があるようだ。ヒッラなどは水、電気共にパーフェクトの環境だそうだが、おそらくバグダッドはひどいほうではないだろうか。電力不足を補うために近隣諸国から購入している状況である。また、電話線も戦争で各地のコミュニケーションセンターが徹底的に破壊されたため、今だ電話が全く繋がらない地域が多い。私が泊まっていたアンダレスパレスホテル周辺も繋がらなかったが、地域によっては通じていて、ドーラ地区などは問題ないようだった。
戦前のバグダッドと比べると、「マネー、マネー」と露骨にお金を要求する物乞いが増えたような気がする。また白昼堂々と缶ビール片手に歩く男性を見かけ驚いた。そしてシンナーの匂いをぷんぷんさせたストリートチルドレンが増えている。前政権時代は厳しく取り締まられていた薬物が、今では容易に手に入るようになっているらしい。今後は他の麻薬等の薬物問題をはじめ、文明社会が抱える諸問題点が次々に浮上してくるのではないか。特にこのストリートチルドレンの問題は深刻である。西村さんによると、彼らを見かねて何とかしようと動き出したイラク人のNGOも現れてきたということで、今後は連携をとって支援していきたいといっていた。是非協力していきたいと思う。
どこも渋滞のためか、路肩でガソリンを闇で売っている連中をよく見かける。他にも盗品を売っているブラックマーケットなんかもあった。サラマッドから聞くところによると、なんと戦争中ドーラ浄水場で勤めていた職員の一人は、陥落後に盗んだものを売りまくり、その金でなんと新しく家と車を買ったという。もう今では浄水場では働いていないらしい。浄水場付近で偶然彼とすれ違ったが、ベンツに乗っていてまるで別人のようだった。このようなアリババ長者に関してはつかの間の栄華に過ぎないとは思うが、今後ますます貧富の差は広がっていくのではないだろうか。