PEACE ONバス購入

何軒か中古車センターをあたってもらった結果、1台予算内で買えそうないいバスがあったというのだが、修理工に見てもらうとエンジンに不具合があり振り出しに戻る。なんとか私の滞在中に見つかってほしいと思っていたら、かろうじて出国の二日前に見つかった。1981年製の日本車。オーナーのS氏と3,500ドルで売買契約を交わす。所々傷んではいるがイラク基準では上等ではないだろうか。エンジンは全く問題ないようだ。21人乗りだが子ども達なら30人以上は乗れそうである。そしてサラマッドが親友のドライバー、Bを紹介してくれた。つまりただこのバスを学校に寄贈してお終いではなくて、ドライバーもこちらから用意して子ども達の送り迎えを手伝うというものだ。それならこれまでのように学校が雇ったドライバーに部品を持っていかれる心配もなくなるし、とくに労働省の許可も必要ない。そしてBは子ども達の送迎さえ終われば後はこのバスを使って自由に稼ぐことが出来るので、バスが故障しても全てドライバーの責任で修理することになり学校側には一切負担がかからないというわけである。つまり「PEACE ON」がバスを所有し、子ども達の送迎をボランティアで請け負うというわけだ。


(写真)PEACE ONが購入したスクールバス

自衛隊派兵について

日本の自衛隊派兵について何人かに尋ねてみたのだが、知っていたという人には出会えなかった。治安維持のために来るのか人道支援のために来るのかと気にする人もいて、是非については態度次第ではないかという意見と、日本に限らず全ての軍隊お断りとの声も。今のところ一般市民に関しては相変わらず親日なので、特に日本だから反対するという意見は聞かれなかった。また、「自衛隊」という言葉の意味や日本の憲法との関連について知っている人もいなかったので、米軍以外で他国から来ている軍隊と同じように捉えている人が多かった。しかし忘れてはならないのが連日の米軍襲撃事件の主体はある信念のもとに組織された武装集団であり、私が尋ねることの出来た一般市民ではないということだ。彼らにとって敵の味方は敵と考えるだろうし、米軍の要請からイラクに入ってくるものが攻撃対象になる確率は極めて高いだろう。ましてや武器を持っていればなおさらである。逆説的ではあるが戦場では武器を持っていないほうがかえって安全なこともあるというのは、バグダッド陥落直後の遺体回収を手伝う前に米兵と交渉した際に身をもって実感した。そしてなにか不測の事件が発生したとして、アルジャジーラ等アラブのメディアでの報道のされ方によっては親日だった一般市民の対日感情が悪化する可能性だってある。そういう意味で、「態度次第ではないか」という意見はわかりやすい。ただ、少なくとも「是非とも日本の軍隊にこそ来てほしい」という声はなく、それよりも日本の一般市民、特に企業にこそ来てほしい。とにかく仕事が欲しいという声が多く、戦時中の遺体回収の際お世話になった浄水場のエンジニアにも「これからは仕事で繋がっていこうじゃないか」と言われた。要するにイラクの人々が日本に求めているのは自衛隊ではないということだ。

やはりこの自衛隊のイラク派兵という問題は、憲法九条との兼ね合いのなかで自衛隊という武装組織をどのように位置づけるのか、また、専守防衛のための組織としての自衛隊が、国外しかもまだ無政府状態にある国に行くということの整合性、そして国連からではなくアメリカからの要請で行くことが果たして真の国際貢献のあり方と言えるのかなど、徹頭徹尾日本がこの先どういう国を目指すのかという問題に尽きるのではないだろうか。


(写真)シンナーに溺れるストリートチルドレン。左は西村陽子さん。

-11-
←BACK    NEXT→